from Number
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7月3日。あれほどいた出場国も今ではもう4つしかいない。W杯も大詰めといった感じである。この期間、雑誌『Number』は隔週から週間発行に臨時体制で臨んでいる。ここ何年かにおいて日本で最も読まれているスポーツ誌と言っても過言ではないだろう。私自身も、毎回の発行を楽しみにしているファンの一人だ。その中に日本代表を時系列で追った「日本代表ベタ張り日記」というのがあり、こんな記事が書いてあった。
(以下Number World cup special issue2「日本代表ベタ張り日記」より抜粋)
6月8日俊輔、シューズ育成中「開幕を控え、日本からの報道陣、サポーターの数も増えてくる。練習前にはユニフォーム姿で集合写真を撮影。5月30日のドイツ戦には真っ赤なシューズで臨んだ中村俊輔だが、このところの練習では履いていない…と思っていたら、何とスタッフがその靴を履いていた。
『ワールドカップ用に用意してもらった新しい靴だから、まだ足にフィットするくらい柔らかくなっていないんだよね。だから、練習中はスタッフの人にお願いして伸ばしてもらっている。で、ホテルでは熱いお湯につけて柔らかくしてからシューズキーパーで伸ばして、“育成”している。毎晩毎晩の作業だから結構愛着がわくんだよね。』初戦と第2戦は赤い靴で登場し、第3戦のブラジル戦には、青い靴を用意しているそうだ。」
ちなみに、この雑誌の中には当然のように緒戦のオーストラリア戦での中村俊輔が載っていたので、その足元を見てみた。
外くるぶしの下の辺りになろうか、日本とオーストラリアの国旗と日付が入っている。
思うに、このように日付などを入れるようになったのは、記憶を辿れば2002年のW杯ではないだろうか。ユニフォームの胸のところにその日の日付とカードの記念プリント。つまり、中村俊輔には最初から3足の靴を履かなければならない使命があったのだ。しかし、育成中などと楽しげに俊輔は語るが、その一方でその障害を吐露しているのである。そもそもシューズとは、道具とは、そんなものだったのだろうか。
少し極端ではあるが、有名な話として、SHINJO選手は入団当初から同じグラブを使い続けている。道具とはそういうものなのである。大学の体育会でスポーツを行っている私の友人は、チームの契約と言うことで某大手シューズメーカーの靴を履かなければならない。ただ、靴というものは、人間にとって最も大事な体重を支える足をカバーする部分であり、選手にとっては一番好みが分かれ、最も慎重に選ぶべきところではないだろうか。
こんな大学は数えるほどもなく、弘法筆を選ばずの精神、贅沢を言うなとも言われそうなものでもあるが。もっとも、当の弘法大使自身は筆選びを最も大切にしたと言われている。少し形が変わり始めたスポーツ界で、近年叫ばれるスポーツの商業主義化、またそれによる高騰化に反対する声は、このようなところから上がってくるのである。
ただ、時にこうも思うのである。これからスポーツが日本において文化となるために必要なものは何か、社会的評価が上がるためにはどうすればいいのか。お金は社会的価値の一つの基準である。では、今後スポーツに払うお金が低くなるべきなのか、高くなるべきなのか。みなさんはどうお考えだろうか。私は、当然のように後者だと思う。何かが発達していく段階で、お金が高くなることは必然なのではないだろうか。思えば、携帯電話やパソコンも元々は高価なものであり、誰にでも手に入るものではなかった。もちろん、誰にでもあれば便利なものであるし、今となってはそれらを持ち得ないことなど考えられないほどである。しかし、その弊害に対して何らかの批判が叫ばれたであろうか。
勿論そういったものと一概に並べられないほどスポーツは異質なものであるし、この時代において残雪とも呼ぶべきスポーツアマチュアリズムの存在や、日本社会全体にある旧体制の壁には、利益追求型の合理主義という武器だけでは太刀打ちできないのかもしれない。しかし、キラリと妖しく光る切っ先が見えた時に、恐怖心からそこで立ち止まるのか、それを乗り越えてもう一歩懐に入っていくのかで道は別れる。企業スポーツの時代が終幕し、次はスポーツマネジメントの時代と言われる。今我々に求められているのは、その偉大なる一歩目ではないだろうか。
ただ、楽天家である私の非常に個人的な意見を言えば、長々と前口上を垂れてきたわりに申し訳ないのだが、その人気にあやかって頻繁にサッカーの記事を扱うようになった『Number』よりは、色々なスポーツがどさっと盛り合わせで出てくるような昔の『Number』の方が好きではある。
[Shino's Works Review]
1. スポーツは何が楽しいのだろうか?
2. スポーツの輪郭
3. Like a rolling ball
4. Obrigada Zicoのその前に
5. from Number
6. 生きている実感
7. 3days
8. ノンフィクション『スポーツマンシップにのっとって』
9. スポーツまでの距離
10. プロパガンダ
11. die another day
12. スポーツ文化とは何か
13. 翼が生えた馬のディープなインパクト
14. 巨人、大鵬、卵焼き
15. 優勝カップが浦和にやってきたヤーヤーヤー!!
16. 60億の男は何に魅せられたのか
17. ジャパニーズスポーツの品格
18. 江川卓に学ぶ
19. 著書「敗因と」に込める金子達仁の言葉後
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