SEEDS-net vol.75
2007年4月9日発行
 

春ですね〜。新歓も終わり、本来なら心機一転、新生SEEDS-netをお送りする予定でしたが、今回「人から見るスポーツ」はお休みとさせていただきます。来週は毎年恒例・新年度特大号をお届けいたしますので、ご期待ください!

<もくじ>


++ マイレポート ++  今年も春がやってきた
 さてさて、今年もこの季節がやってきた。
 
桜舞い散る、鮮やかな春。



多くの人々との、出会いと別れの春。
皮同士、または木と皮の接触音が響き渡る春。

 
 これが私の中での春。

 これらがあるから、春だと思うのか、春だから、これらがやってくるのか、

 どっちだろうと、あまり関係ない話だ。

 ただ、分かっていることが一つ。

 
 そう、春は野球がはじまる。桜と一緒にやってくる、春の風物詩・野球。

 しかし、野球は春だけじゃない。

 夏には、甲子園が、秋には、日本シリーズが、それぞれの季節を表す。

 
 最近は、ジャイアンツの成績不振が視聴率低下へと繋がり、全国放送での中継が減少しているが、これは多くの著名人が解釈しているように、昔は中央集権型のように全国の人々からジャイアンツが愛されていたのた。しかし、今日においては、地方分権が進んだかのように、それぞれの地域のチームのファンに変わっていったことを表し、野球への関心が薄れたわけではない。それに、キャンプからオープン戦、終いには契約更改までスポーツニュースで取り上げられることからも、野球人気の地盤沈下はしていない。冷静になって考えれば、ここまで野球が好まれているのが、おかしく感じてしまう。昨今、表面化した裏金問題やら、私たちには不可思議なことが多いにもかかわらず。
 
 第一に、私自身でさえも野球のどこが好きなのか、上手い理由づけができない。しかし、生まれも育ちも東京なのに、 95 年からホークスファンになった理由ははっきり言える。だからこそ、今年は何としてでも開幕戦に行かなくてはならなかった。
 
小久保裕紀。

 一人のホームランアーティストに惹かれ、その男の全てが小学校 3,4 年生の私の心を福岡まで飛ばした。さすが、ホームランアーティストである。

 しかし、一度、不可思議なことによって、その男は福岡を飛び去る。その日の記者会見は、私の中では封印されている。そして、今年、 4 年ぶりに帰ってくるのだから、私は福岡に行かない理由はなかったのだ。

 
 そして、開幕戦。

 たしかに、オープン戦、しかも本拠地で、ウグイス嬢が「小久保」のコールをした時は感慨深かった。しかし、それは、この日とは全く比べ物にならなかった。

 「 1 番、センター、大村直之」の段階で気持ちは高ぶり過ぎる。

 「 4 番、ファースト、松中信彦」。まだ、次のバッターはコールされていない。誰が 5 番か、実際は分からない。なのに、それなのに、涙が止まらない。私自身でも驚くほど、涙が出た。ここまで出るものか、と思うほどだった。
 

「 5 番、サード、小久保裕紀」

 
 以前の定位置の 4 番ではなかったが、この日、一番の歓声があがったのは間違いない。ホークスファン全てが、その男が帰ってくるのを待ち望んでいた。

 
 ホークスファンにとっても、小久保自身にとっても、決して忘れえぬ、

 出会い、ならぬ、再会の春だろう。

 だから、球場にも黄色い花が咲き乱れ、舞い散るのである。
 
 

 そして、当然、私にとっても、生涯忘れることのない、 2007 年の春がやってきたのだ。
 
 
 西山 裕貴

+ Sport Illustrations +  快挙!その陰で…
  世界水泳 2007 メルボルン大会。今大会は水泳界の歴史の転換期となる大会になったということができるでしょう。

  何といってもマイケル・フェルプス(米)の 7 冠達成は私たちに圧倒的なインパクトを残してくれました。 7 つの金メダルというだけでももちろん賞賛に値する結果なのですが、その内容が素晴らしいものでした。他の選手を全く寄せつけず 5 つもの世界記録を更新。その泳ぎは圧巻の一言で、北京五輪でのさらなる偉業達成を予感させます。

  また、日本水泳界にも嬉しいニュースがありました。五輪、世界選手権を通じて初となる 4 × 100 mメドレーリレーでの銀メダル獲得。テレビ画面を通して日本選手たちの泳ぎと喜びようを観て、思わず胸をアツくさせられたのは私だけではなかったのではないでしょうか。

  さて、こういった数々の名シーンが生まれていた陰で、地元のオーストラリアでは衝撃的な騒動も起こりました。イアン・ソープ氏のドーピング疑惑事件です。真偽のほどは今のところわからず、これから真相が明るみに出てくることと思いますので、この事件のことについて直接触れることはしません。しかし、スポーツ科学部の学生として今回は「アンチドーピング」のことについて書かせてもらおうと思います。
 
 
  『教養としてのスポーツ科学(大修館書店)』の「スポーツと倫理」という章の中ではドーピングの倫理的検討についての記述があります。詳しくはその記述を読んでほしいのですが、ここでドーピング反対論における大きな2つの理由からなる主張を紹介しましょう。

 
 @薬物ドーピングは選手自身に健康上の危害を与えるので禁止すべきである。

 A薬物の使用はフェアなスポーツ精神に反する不正行為であり、競技の公平さを破壊し、スポーツを支配する正当な規範や理想に反するので禁止すべきである。

 
 @の選手の健康面を考慮しての主張は、成人した選手の自己決定の自由(功利主義的自由主義)の観点からすると、ドーピングを禁止することは選手の自由を侵す不当な干渉であるということになるようです。なぜなら、健康への害という意味では、喫煙やドーピング以外の過酷なトレーニングも同じように危険であるのに禁止されてはいないからです。

  Aの主張も正当な主張のようでありますが、倫理的な観点から考えると反論が成り立ちます。現実問題として、選手を取り巻く状況には多くの違いがあるためです。最先端の科学を取り入れた用具を身につけた選手もいれば、そうでない選手もいるでしょう。充実した設備の中でトレーニングし、実績のあるコーチが指導してくれる選手もいれば、たった一人で練習環境を作り出し、身銭を切って競技生活を送る選手だっているはずです。そういった環境はけして「平等」と呼べるものではないと思います。

  しかし、それでもやはりドーピングは禁止されるべきものだと考えます。理由は簡単です。薬物まみれになったスポーツ界など見たくはないからです。度肝を抜かれるような記録やプレーがドーピングにより作り出されたものだと知ったとき、皆さんはどんな思いを抱きますか?虚しくなりますよね。あるいは裏切られたような気持ちにもなるのではないでしょうか。

 競技スポーツの良さは生身の人間たちの努力の成果が表現されるところであり、結果だけを追い求めてドーピングという行為に至ってしまったら、それはもうスポーツではなく別次元のものになってしまうでしょう。今回記事を書くにあたり、ふとそんなことを考えさせられました。


 佐野 裕文
 
  参考図書:教養としてのスポーツ科学(大修館書店)

++ マイレポート ++ スポーツと社会貢献の新しいカタチ
 3 月 25 日、夕方のオフィス街のど真ん中でフットサル大会が行われた。 8 チームが日比谷シティフットサルガーデンに集まり、熱戦が繰り広げられた。優勝チームには、 PUMA より豪華賞品が贈られ、また、大会の合間にはリフティングパフォーマンス集団“球舞”によるハイレベルなパフォーマンスが大会を大いに沸かした。

  この大会を主催したのは、学生団体 GLOBE PROJECT 。学生である彼らに、ドイツワールドカップでもパフォーマンスをした球舞や、言わずと知れた世界的な企業である PUMA が協力してくれたのは一体なぜだろうか。

 
「楽しむことが誰かのために」


  これが、 GLOBE PROJECT のコンセプトなのだと、 GLOBE PROJECT 代表の菅原聡は語る。実は今回行われたフットサル大会は、普通のフットサル大会ではない。その収益でフットサルコートと同じ大きさのカンボジア地雷原が除去されるのだ。日本でフットサルを楽しむことが、世界の誰かの役に立つ。

 「社会貢献って、例えばボランティアだとか、何となく堅苦しいイメージがあるじゃないですか。そうではなくて、もっと気軽にできるカタチがあればいいなぁと思って。」この思いに共感して様々な学生が菅原聡のもとに集まり大会を主催し、さらには、球舞、そして PUMA など多くの企業が協力してくれるようになった。

 
 GLOBE PROJECT は昨年 10 月と 12 月にも同様の大会を主催しており、共に成功を収めている。「楽しむことが誰かのために」のコンセプトのもと行われる大会は、選手も楽しみ、スタッフも楽しむ。そして、社会貢献にも繋がっている。この新しいカタチが、これからもどんどん大きなムーブメントを起こしていくだろう。 8 月にはアミノバイタルフィールドでの大規模な大会の開催も決定している。

 現在 GLOBE PROJECT では、共に活動する新しい仲間を大募集、とのこと。思いに共感した人、社会貢献に興味がある人、イベント運営に興味がある人、スポーツが大好きな人・・・ぜひ一度 http://globe-project.jp/ を覗いてみてはいかがだろうか?

 
 
 椎名 浩之

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